第3回勉強会終了しました!
10月13日の日曜日、百武ひろ子先生にお越しいただき「地域猫における社会的合意形成」をテーマに講演していただきました!今回はその内容を大まかにまとめてみたので、最後まで読んでいただけると幸いです。
みなさんは「合意形成」という言葉をご存知ですか?私は、なんとなくのイメージはつくもののそれが何を目指しているのかは曖昧でした。しかし、百武先生が言葉を丁寧にかみ砕いて説明してくださり、合意形成の目指す形がより分かりやすくなりました。まず、「合意」と「同意」の違いを説明していただきました。「同意」とは、完全に意見が同じであり、それに賛同するということ。一方「合意」は、元々の意見が同じとは限りません。異なる意見であっても、最終的にそれぞれの人が納得し、終着点にたどり着くことが合意です。また、「説得」と「納得」も違います。「説得」という言葉には「異なる意見をもつ人を説き伏せる」というニュアンスが含まれます。しかし「納得」という言葉は、「異なる意見を持つ人が相手の話を聞いて自発的に賛同する」というニュアンスです。合意形成では、後者の「納得」を経て合意に至ることが求められます。つまり、意見をまとめる際、多数決や妥協案、最大公約数は用いません。このことは、個人的に大きな発見でした。
では、そのような合意に至るには、どのような話し合いにすれば良いのでしょうか。百武先生によると、いくつかポイントがあるそうです。
まずは、良い参加者に参加してもらうことです。「良い参加者ってなに?」という疑問が浮かぶかと思います。良い参加者とは、肯定・否定の立場の人だけでなく、中間層の人も含む参加者のことだそうです。地域猫活動を例にすると、猫の愛護活動に関心のある人、猫の被害に困っている人などの他に、活動についてあまりよく分かっていない人、まだはっきりと意見を持てていない人などにも参加してもらうということです 。また、賛成・反対・中立の立場を表明してもらう際、人ではなく意見に対して立場を表明してもらうことも重要になります。
次のポイントは、話し合いを支える人物です。上手く合意形成に至るためには、質のある話し合いを維持する運営が必要です。その人物が、ファシリティリーダーとグラフィックレコーダーです。まずファシリティリーダーとは、中立の立場で意見の真意を問いかけながら掘り下げる人物のことです。意見が対立していても、その真意は一致しているケースはよくあると言います。百武先生が挙げた例は、狭い通学路を広げるべきかという議題です。賛成派の真意は「道を大きく広げて子供たちと車が余裕をもって通れるようにしたい」というもの。一方否定派の真意は「狭いままで車が通れないようにし子供たちが安全に通れるようにしたい」というものです。意見は対立していても、子供たちの安全を気にしている真意は同じです。この場合では、「道を少し広げる」などの妥協案が何の解決にもならないことが分かります。中立の立場から真意を探ることの重要性がここにあります。次にグラフィックレコーダーとは、ホワイトボードなどに意見を書いて話し合いを分かりやすくさせる人物のことです。こうすることで、人ではなく意見そのものに意識が向きやすくなります。また、運営全体で話し合いの事前準備を入念にしておくことも必要です。どんな人が来るのか?中間層の人も参加するにはどうすべきか?どれくらいの人が来るのか?会場は?意見の出やすい椅子の配置は?...など、限られた時間で質のある話し合いをするために、これらのことを入念に調べておく必要があります。
そして最後のポイントは、得られた合意は現段階のものであると認識しておくことです。合意を得られたとしても、その問題に関わった世代は移り変わり、問題の状況も時間を経て変わっていきます。地域猫活動など、地域と密接に関わる活動においてはなおさらです。時間が経てばまた話し合いの場を設け、長期的に関わっていくことが大切とのことです。
今回のお話は、地域猫活動に留まらず、あらゆる分野での合意形成において役に立つものでした。地域の方々と良い関係を保ちつつ地域猫活動を進めるために、今回学んだことを活かしていきたいと思います。百武ひろこ先生、お忙しい中大変貴重なお話をしていただき、ありがとうございました!