マダニと感染症のこと

2019年04月21日

本日、山口大学で開催された日本衛生動物学会の市民公開講座に参加しました!
「マダニの運ぶ感染症から身を守れ!」という題材で、様々な先生からの講演があったので、今日はSFTSを中心に学んだことをまとめてみます。

SFTSは重症熱性血小板減少症のことです。
これはブニヤウイルスに属するSFTSウィルスによって発症する疾患です。
このウィルスはマダニ類によって媒介されており、発症すると10~30%と高い致死率となっています。

現在は中国、韓国、日本で発生が確認されており、研究では渡り鳥による関与が強く示唆されています。日本では西日本での発生が多いです。

SFTSウイルスはマダニによって媒介されますが、すべてのマダニがこのウイルスを持っているわけではありません。ただしマダニが媒介する他の病原体を持っているので、マダニに噛まれないように注意することは必要です。
SFTSウイルスはマダニから家畜・野生動物・イヌ・ネコ・ヒトなどへ感染します。また感染動物の血液や体液からヒトへ感染することもあります。同じようにヒトからヒトへ感染することがあり、血液や体液への直接接触には注意する必要があります。

ここからはヒトへ感染した場合についてです。
ヒトに感染した場合は高い確率で発症します。
発症した場合は発熱、倦怠感、嘔吐・下痢、血尿などの症状を呈します。また血液検査では血小板減少、白血球減少、AST・LDH・CK上昇が見られます。しかしこれらは共通して見られるわけではなく、患者さんによって症状がまちまちです。
上の症状に加え、動物との関与や、マダニに噛まれたことがあればSFTSが強く疑われるため、医師の診断の際には動物やマダニの関与をしっかり伝えることが早期診断に繋がります。

現在は集中治療による対症療法が治療法です。
発症しても回復する患者さんもおり、およそ2週間ほどで回復に向かいます。
研究段階ではありますが、ファビフィラビルという薬剤がSFTSに対する効果が高いのではないかと期待されています。

マダニが媒介する疾患は非常に多く、重症の場合は死亡することもある疾患も含まれます。野外のネコに接する我々も人獣共通感染症に対する知識をしっかり持つことが大事だと感じました。同時に活動中にその疾患に感染しないように装備(服装、手袋、救急道具など)をもつことも重要だと感じました。

山大にゃんこ大作戦@山口大学吉田キャンパス
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